株式会社デジタル・クリエイティブ・ネット様
本格的な業務用キッチンを備えるレンタルスタジオ事業を1990年より東京・月島で手掛け、1,200社以上の顧客を抱える傍らで、自社の基幹システムや業務プロセス等を構築した知見を生かし、企業のシステム導入などを支援するIT事業部を5年ほど前に立ち上げ。フロントから会計まで突貫した形で支援できる点を強みとしている。
本格的な業務用キッチンを備えるレンタルスタジオ事業を1990年より東京・月島で手掛け、1,200社以上の顧客を抱える傍らで、自社の基幹システムや業務プロセス等を構築した知見を生かし、企業のシステム導入などを支援するIT事業部を5年ほど前に立ち上げ。フロントから会計まで突貫した形で支援できる点を強みとしている。
レンタルスタジオ事業やIT支援事業を展開する株式会社デジタル・クリエイティブ・ネット様では、SmartReadとRPAを活用して請求書処理を完全に自動化し、経理業務の大幅な効率化に成功しています。
どのような仕組みで完全自動化を実現したのか――?その裏側を、バックオフィスの自計化・自動化支援を手掛けるDOA部門のクリエイティブマネージャーの本間様と、DOA部門と自社の労務・財務・税務等を兼務する草間様にお伺いしました。
草間様:弊社では約7年前から私が中心となって業務の自動化や効率化を推し進めてきました。
実は私が経理畑の出身で、さらにシステムベンダーに在籍していたこともあり、「経理」×「システム」の両方の知識を活かしながらシステムの構築や自動化を進めてきて、今ではアルバイト含めて6名ほどで会社を運営できる状態になっています。
そんな自社の取り組みが知り合いの企業様の目に留まって、「うちの支援をしてほしい」とご相談いただき、そこからIT支援を事業化してDOA部門も運営しています。
草間様:もともと弊社では、基幹システムも会計システムもクラウド化しており、各種申告も電子化していました。受取請求書については、以前はスキャンしてPDF化してから会計システムに手打ちしていましたね。毎月処理する請求書や領収書は勘定科目が基本的に変わらず、金額・日付・明細事項だけを複製してPDFを添付する程度だったので、オンラインスタッフに外注して弊社の人員を割かずとも完結するフローになっていました。
そこからさらに一歩進んで、請求書PDFから会計システムへの入力まで自動化することを目指して、AI OCRの導入を決めました。
マネージャーの本間 翔太様(左)と、オンラインで取材に参加された草間 千恵様(右)
草間様:2021年に初めてAI OCRを導入したのですが、SmartReadではなく他社の製品(以下、製品A)でした。
弊社では請求書を定型文書として読み取っているのですが、製品AのUIが非常に使いづらく、帳票ごとにテンプレートを作る(=定義)のに何時間もかかっていました。また文書の仕分け機能が高額なオプションメニューだったので利用できず、スキャンするときにまずスキャナーの画面上で20〜30個ある中から該当する定義を選択して、さらにRPAで振り分けをせざるを得ませんでした。定義の選択を間違えたらスキャンからやり直しですし、RPAシナリオがどんどん複雑化してメンテナンス工数が増えていったことから他のAI OCRを探し始めることにしました。
そんなときに、ビッグサイトでの展示会でSmartReadに出会ったんです。
本間様:ブースにふらっと立ち寄っただけだったのですが、SmartReadのデモ画面を見せていただいたら、「UIがすごく分かりやすくて定義も作りやすい!なんだこれは!」って衝撃を受けました(笑)。ただ、SmartReadの正式サービスインの直前に製品Aの契約を更新してしまったので、すぐには導入できなかったんです。
草間様:ただ、最後は私がRPAのメンテナンスの手間に我慢できなくなってしまい、製品Aの契約が残っている状態でSmartReadを導入してもらいました。SmartReadの無償トライアルで自動仕分けを経験してしまったのでもう・・・(笑)
草間様:自動仕分け機能と、読み取り後のデータエクスポート(CSVかAPI)機能を条件に5〜6製品を検討したと思いますが、最後まで残ったのはSmartReadともう一つ(以下、製品B)ありましたね。
製品Bは読み取り精度が高くて、UIも悪くなかったのですが、料金プランが非常にわかりづらく、やりたいことを全部含めると月10万円を超えそうで、金額が不明瞭なのでやめました。
本間様:やはり定義の作りやすさが一番の決め手でしたね。製品Aのときは自分で作ることもできなかったですから。SmartReadは本当に誰でも簡単に定義を作れるので、必要になったら私自身でもささっと作っちゃう。それぐらいわかりやすいです。
草間様:あと、業務の流れまで考えられたAI OCRはSmartReadだけでしたね。
OCRで読み取ったデータは、その後にシステム等への登録プロセスがありますが、SmartReadの製品資料では、文書処理の一連の流れの中の“ここからここまでを自動化します”としっかり書かれていました。他の製品は識字率と対応帳票しか紹介しておらず、当時そのような言い方をしている製品は他になかったですね。AI OCRを一度使うと、自動仕分け機能や出力(データ連携)の重要さがよく分かりますし、そうした業務の流れを考えられていた点が非常に良かったです。
実際にどのような流れで請求書処理を自動化されているかを詳しく教えてください。
草間様:流れとしては次のような形です。人の手が入るのは、仕分け結果と読み取り結果の確認、基幹システム上での登録内容の確認だけで、あとはRPAが裏側で毎日動いています。
1. スキャナーで定義を選択して帳票をスキャン
↓
2. クラウドストレージの特定のフォルダに自動で保存
↓
3. SmartReadで自動でタスクが立ち上がり、ファイルをアップロード
↓
4. 自動仕分けが完了すると基幹システムを通して通知が届く
↓
5. 仕分け結果を確認・修正
↓
6. 読み取りを実行し、完了すると同様に通知が届く
↓
7. 読み取り結果の確認完了
↓
8. 読み取り結果を基幹システムに自動で取り込み
↓
9. 基幹システムがCSVの内容を読み取り、テンプレート名に従って勘定科目を下書き登録。クラウドストレージから該当のPDFを取り出し添付。一通り目視で確認して承認
↓
10. 同内容で会計システムにも登録が完了
以前は、スキャナー上に何十件も定義のボタンがあって、帳票の種類ごとに手作業で整理した上で定義を選んでスキャンしていました。SmartReadには自動仕分け機能があるので、今ではフォーマットも大きさもバラバラな帳票を一気にまとめてスキャナーにかけても自動で振り分けてくれるので、とても楽になりました。
草間様:SmartReadでは、書き出したCSV内にテンプレート名が記載されるので、テンプレート名によって勘定科目を判別・登録する仕組みを基幹システムの中に作りました。例えばですが、「領収書_家電量販店」というテンプレート名だったら勘定科目を「消耗品費」にするとかですね。おかげで間違いなく仕訳ができるようになりました。
製品Aのときは、帳票上の会社名を読み取ってそれをもとに自動仕訳しようとしたのですが、社判が重なっていて読み取り精度が悪かったり、全角半角が正確でなかったりして、はじかれるケースが多くて、結局手動で登録する作業が残っていました。
本間様:AI OCRで読み取った結果を使う先の会計の知識が豊富な草間だからこそ構築できたフローだと思いますね。
草間様:定期的なお取り引きがあればそれは定型文書と言えますからね。
製品Aでは定義のUIが使いづらかったので準定型文書として読み取ってしまうことも多かったのですが、SmartRead導入時に改めて一つひとつ定義し直しました。そんなに種類は多くないだろうと思っていたのですが、意外とたくさんあったので、読み取る箇所を7項目に絞って本間と手分けしながら定義を進めていきました。
ちなみに弊社では、請求書だけでなく納品書や見積書も同様の形で処理しています。帳票のタイトルも読み取るように定義しているので、そこで帳票の種類も自動で振り分けられるようになっています。
本間様:定義を作ること自体が非常に楽になったので、新しい帳票があったら、今後また来るか分からないけどとりあえずテンプレートを作っておこう、という感じですね。
草間様:そうやってテンプレートが増えていって、現在では70種類を超えています。1年に1回の請求書もありますので、仕分けを完全に自動化できるようになったのは最近ですね。使い始めて6ヶ月目です。
草間様:現在の仕組みだと、テンプレートをまだ作成していない帳票を取り込むと自動仕分けができないので、その時点でテンプレートを作成したりタスクを編集してファイルを再度アップロードする必要があります。
準定型で読み取れるようになったら、自動仕分けができなかった場合はAPIで仕分けエラー結果をダウンロードして、その該当ファイルだけを準定型として再度アップロードして読み取るという自動化フローを組めるので、とてもありがたいですよ。
テンプレート名での正確な仕訳はできませんが、会社名が正確に読み取れれば仕訳できる仕組みも作ってありますし、間違っていても目検で修正すれば良いだけです。定期的に発生する帳票ならあとでテンプレートを作れば次回から標準フローに乗せられます。
弊社のお客様の中には、テンプレートを作るのが手間だと考える企業様もいますので、そういう方にも準定型での読み取りは助かると思いますね。
草間様:毎月100〜200枚程度の帳票を処理していますが、すべて手作業で捌いていたのはもう7年以上前ですね。当時は毎日1〜2時間は経理の仕事をしていました。2年前の製品Aのときも、自動処理できなかったものは勘定科目などを手打ちする必要があったので、結局、3日に1回は作業していたと思います。
SmartReadを導入してこの自動化のシステムを作り上げてからは、経理の仕事は月に1日、3時間程度です。スキャンするだけでリアルタイムに経理の数字が記録されていって、月次の作業時にすべて承認するだけで完了します。
また、誰でもできる作業なので経理専属の人員が必要なくなったのが大きいですね。経理を知らない人に勘定科目を覚えてもらうのって結構大変ですし、会社名も表記ゆれが起こって取引先マスターがぐちゃぐちゃになったりしがちですが、今はすべて自動で処理するので間違いも本当に少なくなりました。経理の仕事というイメージをしていなくても経理ができてしまう状態です。
本間様:費用対効果は十分にあると思っています。
経理担当者を一人雇用したら、月に数十万円はかかりますよね。RPAや基幹システムにも多少の費用はかかっていますが、せいぜいアルバイト代くらいです。ここまで自動化できていると、社員が手を動かす必要もなく、オンラインスタッフに頼むこともできるので、その点でもさらに人件費を抑えることができています。
属人化がなくなったことで、我々が開発業務に使える時間が大幅に増えたことも大きいですね。
草間様:オンラインで経理が完結できる点もいいですよね。紙も減って、たくさんファイリングしていた棚もすっきりして、仕事のスピードが格段に速くなったなぁとしみじみ感じています。
草間様:私自身がまだAPIに対応しきれない点が課題として残っています。現在組んでいるRPAだと、管理画面のデザインが変わると動かなくなってしまうので、すべてAPIでできるようにしていきたいと思っています。
本間様:要望としては、レシートも読み取れるようになると嬉しいですね。出張時の経費申請などでコンビニのレシートなども来るんです。今は経費申請システムのOCR機能が向上しているのでそちらに吸収させていますが、できることならすべての帳票をSmartReadで処理できるようになるとありがたいですね。
草間様:業務の流れまで考慮されているAI OCRはSmartReadだけですので、iPaaSなどを使って他のシステムともつながると面白いのでは、と感じています。